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【コラム】親権者の変更について

2016-10-14

 親権者の変更は,新たに親権者を定める場合とは異なるので,認められにくいのが現状です。もっとも,現時点の親権者による未成年者の養育監護状況が劣悪であるなど,未成年者の福祉に反する状態が認められる場合には,親権者の変更が認められる傾向があります。

 判断要素としては,
 【父母側の事情】
・監護能力
・子に対する愛情の程度
・経済力
・生活環境 など
 【子側の事情】
・意思
・年齢,性別
・心身の状況
・現状における適応状況
・新しい養育環境への順応性 など
の事情が総合的に考慮されます。

 親権者を変更すると,環境の変化などにより子に大きな影響を与える場合があることから,継続性維持の原則を重視する傾向にあるようです。

【コラム】飲酒運転は絶対にやめましょう(第3回)

2015-09-28

1 前回のおさらい

前回は,飲酒運転を起こして事故を起こした場合にどのような処罰がなされるのかについてお話をしました。
今回は,行政上の責任,具体的に言うと運転免許の取消しについてです。

   
2 免許取消しと欠格期間

飲酒運転をして交通事故を起こすと,場合によっては運転免許が取り消されるのはもちろん欠格期間といって,その間運転免許の再取得ができないというペナルティも科せられます。

具体的にどうなるのかについては,以下の通りです。

<危険運転致死傷>

種別 付加点数の種別 点数 欠格期間
危険運転致死   62点 8年
危険運転致傷 治療期間3月以上又は後遺障害 55点 7年
危険運転致傷 治療期間30日~3月未満 51点 6年
危険運転致傷 治療期間15日~29日 48点 5年
危険運転致傷 治療期間15日未満 45点 5年

<酒酔い運転>
・専ら違反者の不注意により発生

種別 付加点数の種別 点数 欠格期間
酒酔い運転等で死亡事故   35+20 7年
酒酔い運転等で事故 治療期間3月以上 35+13 5年
酒酔い運転等で事故 治療期間30日~3月未満  35+9 4年
酒酔い運転等で事故 治療期間15日~29日  35+6 4年
酒酔い運転等で事故 治療期間15日未満  35+3 3年

・それ以外

種別 付加点数の種別 点数 欠格期間
酒酔い運転等で死亡事故   35+13 5年
酒酔い運転等で事故 治療期間3月以上 35+9 4年
酒酔い運転等で事故 治療期間30日~3月未満  35+6 4年
酒酔い運転等で事故 治療期間15日~29日  35+4 3年
酒酔い運転等で事故 治療期間15日未満  35+2 3年

ひき逃げをした場合,さらに違反点数35点,欠格期間3年が加算されます(欠格期間は最長10年)。 免許取消し自体ももちろん大変ですが,欠格期間により何年も免許が再取得できないというのは,特に神栖市など移動手段を車に頼る地域に住む人にとっては致命的ではないでしょうか。

   
3 まとめ

以上,3回にわたって,飲酒運転をするとどのような責任を負うのかについて検討しました。『大変なことになる』の内容が少しずつ分かってきたかと思います。このほかにも,怪我をした相手などへの賠償といった民事責任も生じます。何度も繰り返しますが,飲酒運転は身の破滅です。絶対にやめましょう。

【コラム】飲酒運転は絶対にやめましょう(第2回)

2015-07-29

1 前回までの話

前回は,飲酒運転をした場合に,運転をした本人やそれに関与した人がどのような処罰を受けるのかについてお話しました。
今回は,飲酒運転をした人が交通事故を起こしてしまった場合に,どのような処罰を受けるのかについて解説します。

2 飲酒運転をして交通事故を起こしてしまった場合の処罰

従来,飲酒運転による交通事故については刑法の規定により処罰されていました。しかし,飲酒運転による悲惨な事故が絶えない現状に鑑みて厳罰化が強く求められた結果,刑法から独立した特別法を制定して,飲酒運転による交通事故に対し厳罰を処することになりました。正式名称は,『自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律』と言います。名称が長いので,ここでは「法」と省略します。

【法第2条】危険運転致死傷罪
<処罰の対象>
アルコール又は薬物の影響により,正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ,人を死傷させた場合
<罰則>
致死の場合 1年以上の有期懲役(最高20年)
致傷の場合 15年以下の懲役

【法第3条】危険運転致死傷罪
<処罰の対象>
アルコール又は薬物若しくは運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響により,正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転し,よって正常な運転が困難な状態に陥り,人を死傷させた場合
<罰則>
致死の場合 15年以下の懲役
致傷の場合 12年以下の懲役

【法第4条】過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
<処罰の対象>
アルコール又は薬物の影響により,正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転した者が,運転上必要な注意を怠り,人を死傷させ,その時のアルコール又は薬物の影響の発覚を免れる行為をした場合
<罰則>
12年以下の懲役

【法第6条】無免許による刑の加重
<処罰の対象>
自動車の運転により,人を死傷させた者が無免許であった場合
<罰則>
15年以下の懲役→6月以上20年以下の懲役
12年以下の懲役→15年以下の懲役
7年以下の懲役等→10年以下の懲役

3 まとめ

ご覧の通りかなりの厳罰です。また,逃げ得ができないよう発覚面脱罪も新設されました。発覚免脱罪の法定刑が懲役12年だといわれると,ここに挙げられた刑のなかでは軽いじゃないかと思われる方もいるかもしれませんので念のために補足します。発覚面脱罪を犯す場面というのはほとんど救護義務違反(ひき逃げ)も犯しています。なので,両罪は併合罪となり,最高刑は懲役18年になります。飲酒運転をして交通事故を起こしてしまうと,人生が破滅します。一生をかけるリスクを犯してまで飲酒運転をしますか?
    
次回は,行政上の制裁について,検討します。

【コラム】相続税削減の第一歩は遺言作成にあり?

2015-07-08

新聞等の報道によれば,平成27年7月7日,政府・与党は平成29年度にも「遺言控除」を新設する方針を決めたとのことです。

「遺言控除」とは,有効な遺言による相続を条件に,一定額を相続税控除額に上乗せするというものです。ここでのポイントは,「有効な遺言」による相続を条件としているということです。

単に遺言を書いても,それが有効と認められるかどうかは別の問題です。法的に通用する遺言を書くことによりはじめて,遺言控除が認められるのです。

制度の詳細はこれから議論されるものと思われますが,控除額は数百万円単位となるようです。遺産の大小にかかわらず,節税という一点をみても,遺言が今後ますます重要になることは間違いありません。

遺言は厳格な形式が法で定められており,それに合致しないと有効とは認められません。亡くなる前の準備を万全に備えて,楽しい老後をお過ごし下さい。弁護士はそのお手伝いをさせていただきます。

【コラム】裁判員制度は今後どうなる?

2015-07-07

平成27年7月7日,読売新聞電子版などによれば,裁判員裁判が4か月ぶりに再開されるも,新たな主張がなされたことにより審理が事実上やり直しとなり,3人の裁判員が予定が合わないとして辞任したという報道がありました。

裁判員裁判は,一般人である裁判員に,短い裁判でも数日間連続で裁判所に来ていただくという国民にとって負担の重い制度です。自分の身に置き換えて考えても,平日の昼間を数日間連続で空けるというのは難しいのではないでしょうか?

裁判員制度は,司法を国民にとって身近なものとして司法への理解を深めてもらうという役割をもって導入されました。このこと自体は意味があることなのだと思います。
しかし,司法への理解を深めてもらうには,容易に司法参加できる仕組みが不可欠です。裁判員に選ばれましたと言われて迷惑に思うような制度では,かえって国民から司法が遠ざかってしまいます。

今回の報道のように,せっかく司法参加してくれた裁判員が3人も辞退せざるを得なくなってしまったのは,裁判所にとっても無念だったと思います。
今回の件やこれまで行われた裁判員裁判の蓄積なども踏まえて,国全体の課題として国民が参加しやすい裁判制度を再構築すべきときなのかもしれません。

【コラム】飲酒運転は絶対にやめましょう(第1回)

2015-07-01

1 飲酒運転はダメ,ゼッタイ

最近暑い日が続いています。これからの本格的な夏に向けて,暑気払いなどお酒を飲む機会も増えるのではないでしょうか?
飲酒運転による事故が増えるのもこの時期です。とくに神栖を含む鹿行地区は,電車やバスなどの交通機関が発達していないこともあり,近くの家までだからと飲酒運転をしてしまう方も居るようです。しかし,あえて言います。お酒を飲んだら絶対に運転をしてはいけません。

しかし,ただ飲酒運転をしてはいけないと言われても,飲酒運転をすると具体的にどう大変なのかについては深く考えた事がないと思います。そこで,これから数回に分けて,飲酒運転をするとどうなってしまうのかについて解説したいと思います。

2 飲酒運転を禁止する法律は?

まず,第1回は飲酒運転を禁止する根拠条文のおさらいです。ここで理解していただきたいのは,飲酒運転をする行為はもちろんのこと,飲酒運転に関与する行為についても処罰されるということです。

【道路交通法65条1項】
何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
→お酒を飲んだ人は運転をしてはいけません。
 (罰則)
 酒酔い運転の場合  5年以下の懲役または100万円以下の罰金
 酒気帯び運転の場合 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

【同法65条2項】
何人も,酒気を帯びている者で,前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し,車両等を提供してはならない。
→お酒を飲んでいる人に,車両を提供してはいけません。
 (罰則)
 酒酔い運転の場合  5年以下の懲役または100万円以下の罰金
 酒気帯び運転の場合 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

【同法65条3項】
何人も,第1項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し,酒類を提供し,または飲酒をすすめてはならない。
→お酒を提供したり,勧めることも禁止です。
 (罰則)
 酒酔い運転の場合  3年以下の懲役または50万円以下の罰金
 酒気帯び運転の場合 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

【同法65条4項】
何人も,車両(注:括弧内は省略します)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら,当該運転者に対し,当該車両を運転して自己を運送することを要求し,又は依頼して,当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
→お酒を飲んだ人に自分を送迎するよう要求したり依頼して,車両に同乗してはいけません。
 (罰則)
 酒酔い運転の場合  3年以下の懲役または50万円以下の罰金
 酒気帯び運転の場合 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

 このように,道路交通法は,運転者はもとよりその関係者に対しても厳しい処罰を科しています。飲酒運転によるペナルティは免許取消しなどの行政処分だけではありません。飲酒運転をしてたとえ事故を起こさなかったとしても,発覚すれば刑務所行きの可能性があるのです。

 それでは,さらにお酒を飲んだ状態で事故を起こしてしまったらどのような処罰が待っているのか,そのことについてお話をしたいと思います。

【コラム】夫婦別姓・待婚期間について

2015-06-30

すでに報道などでご存じの方もおられるかもしれませんが,夫婦別姓と待婚期間について,最高裁判所が司法判断を行う可能性が高くなりました。どのような判断になるかは,もちろん分かりませんが,問題の所在だけ,簡単に触れたいと思います。

夫婦別姓に関する法律は民法750条です。条文をみると,「夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。」とありますので,現行法上,夫婦別姓は認められておりません。この規定が,個人の自由を規定した憲法に照らして違憲ではないのかということが問題の所在です。

待婚期間に関する法律は民法733条です。条文をみると,733条1項には「女は,前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ,再婚をすることができない。」とあります。この規定については,そもそも女性だけに待婚期間を設けることは違憲ではないかという点や,仮に女性だけに待婚期間を設けることが違憲でないとしても,6箇月もの長い間再婚を禁ずるのは憲法違反なのではないかという問題があります。また,本条文は,父性推定の重複を避ける趣旨で設けられたものであるところ,医学の発達によって,もはや待婚期間を設けること自体に意味がないのではないかといった議論などもあります。

深く検討すると長くなるのでこのへんにしておきますが,最高裁判所が判断をすることにした背景には,現代におけるライフスタイルの変化や,結婚や夫婦のありかたといったものに対する価値観の変容などもあるのではないかと思います。

最高裁判所がどのような判断をするのかが注目されます。

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