遺産分割協議とは

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは,相続発生時2人以上の相続人がいる場合に,相続人全員が話し合いを行ってどのように財産を分割するかについて決めることをいいます。
  
以下,簡単に手順を示します。
 

遺産分割協議の手順

1 遺言がないかを確認する

まず,亡くなった方が以遺言を作成していなかったか確認をしましょう。
遺言で一定期間遺産分割を禁止することができるからです。
   
自筆証書遺言であれば,タンスや大切なものを入れておく場所にしまってあるかもしれません。

また,公正証書遺言があるかどうかは,公証役場に問い合わせをすればわかります。
   
遺言の存在が遺産分割協議の後で分かった場合,原則として遺言の内容に反する部分は無効となります。
しかし,相続人全員に遺言を無視して遺産分割をするという意思があればその合意が優先されます。

遺産分割協議とは

2 相続人の確定

遺産分割協議は,共同相続人全員の参加が必要です。

遺産分割協議に無資格者が含まれていれば分割は無効となり,また,有資格者の一部を除外して分割協議がなされた場合にも,分割は無効となります。
したがって,相続人の確定は,非常に大切な作業となります。
   
相続人を確定するには,亡くなった方の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍などを取り寄せ,調査をする必要があります。
調査を進めるなかで,以下の問題にぶつかる場合があります。
その場合には,弁護士にご相談ください。

⑴ 胎児がいる場合
胎児は相続権を有します(民法886条1項)。
したがって,胎児も遺産分割協議に参加させなければなりません。実際には,胎児が生まれるのを待ち,母親が法定代理人として参加します。
ただし,母親も相続人である場合には,胎児の利益と母親の利害が対立するので,家庭裁判所に対して特別代理人の選任を求めることになります。
  
 ⑵ 相続人のなかに未成年者がいる場合
この場合,未成年者の親権者が法定相続人として遺産分割協議に参加します。
ただし,親権者も相続人である場合には,未成年者と親権者との利害が対立するので,家庭裁判所に対して特別代理人の選任を求めることになります。   

⑶ 相続人のなかに意思能力が不十分な者がいる場合
この場合,裁判所に対して後見開始の審判等を申し立て,裁判所から選任された者が遺産分割協議に参加することになります。
  
  相続人のなかに行方不明者や生死不明者がいる場合
亡くなった時点で,行方不明者が行方になってから7年以上たつときには,家庭裁判所に失踪宣告の申立を行い,失踪宣告の審判をしてもらいます。

認められると,不明になってから7年を経過したときに死亡したものとみなされます。
相続発生時に行方不明者に相続人がいれば,その者が遺産分割協議に加わることになります。
    
7年に満たないか,生死不明ではあるがどこかで生きているかもしれない場合には,失踪宣告の申立はできません。
この場合は,相続財産管理人の選任を申し立て,その相続財産管理人が不明者に代わり遺産分割協議に参加することになります。

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3 遺産の確定

相続人が確定したら,次は遺産の範囲を確定する必要があります。
この手続きも非常に重要です。

遺産分割協議に相続財産以外のものが含まれていれば,錯誤により分割協議全体が無効になることもあり,相続財産の一部を除外して遺産分割を行った場合には除外した相続財産についての遺産分割の問題が生じます。
    
遺産の調査をした結果,資産より負債が大きい場合には,相続放棄の検討も必要となります。

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5 分割内容の協議

遺産分割協議は共同相続人全員の合意が必要ですが,一同に会する必要はありません。

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6 遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議につき共同相続人全員の合意が得られるときは,その内容を遺産分割協議書にまとめます。

遺産分割協議書は,不動産の登記や預金口座の名義変更などに必要となります。

 

 

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