事件別の弁護方針
窃盗事件について
罪名
窃盗罪(刑法235条),常習累犯窃盗罪(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条)
量刑
窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
常習累犯窃盗罪:3年以上の有期懲役
特徴
ひとことで窃盗罪といっても,いわゆる万引きやスリ,空き巣など,その犯行態様は様々です。
弁護方針
被害者に盗んだ物を返還・弁償するとともに,謝罪するなどして示談に向けた活動をします。
同種前科がない場合や盗んだ物の価値がわずかである場合には,不起訴処分を勝ち取ることも可能です。
また,起訴されてしまった場合には,被告人により有利な判決を勝ち取るための弁護活動を行います。
具体的には,犯罪に至った経緯や動機などを分析し,再犯防止策を検討します。
再犯防止策としてご家族や友人の協力な場合には,その協力を求めます。
検討した再発防止策は,裁判の場において,裁判官に対して説得的に主張立証します。
薬物事件について
罪名
覚せい剤所持・譲渡・譲受(41条の2第1項)
覚せい剤使用(41条の3第1項1号)
大麻取締法違反
その他
量刑
覚せい剤所持・譲渡・譲受:10年以下の懲役
営利目的での上記行為:1年以上の有期懲役
覚せい剤使用:10年以下の懲役
大麻所持・譲渡・譲受:5年以下の懲役
大麻栽培・輸入・輸出:7年以上の懲役
その他
特徴
薬物犯罪は,覚せい剤などのいわゆる違法薬物を使用・所持するなどすることにより成立する犯罪です。
ここでは,特に多い覚せい剤の使用・所持について説明します。
弁護方針
覚せい剤事件では,逮捕・勾留されると,被疑者の尿や差し押さえた覚せい剤の鑑定が行われます。
鑑定結果が陽性と出てしまった場合,不起訴処分は極めて困難です。
起訴後は,場合によっては保釈が認められる場合もあります。
また,裁判に向けた準備も進めます。
具体的には,薬物からの脱却に向けた取り組みを検討します。
具体的には,家族の監督,ダルクによる支援,転居などによる薬物関係者との交友の断絶を検討します。
検討した再発防止策は,裁判の場において,裁判官に対して説得的に主張立証します。
人身事故などの交通犯罪について
罪名
人身事故:自動車運転過失傷害,自動車運転過失致死(刑法211条2項)
ひき逃げ:道路交通法違反117条,72条
当て逃げ:道路交通法違反117条の5,72条
・飲酒運転による交通事故により,人を死傷させた場合の処罰について,別にまとめました。詳しくは,こちらをご覧下さい。
量刑
人身事故:7年以下の懲役若しくは禁固又100万円以下の罰金(刑法211条2項)
但し,ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。
ひき逃げ:5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法違反117条1項)
10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法違反117条2項)
当て逃げ:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金(道路交通法違反117条の5)
特徴
自動車運転過失傷害罪は,自動車の運転中,不注意により人に怪我をさせてしまった場合に該当します。
ひき逃げとは,自動車等の運転中に人身事故を起こした場合,負傷者の救護措置等を行わずに現場から離れることをいいます。
当て逃げとは,自動車等の運転中に物損事故を起こした場合,道路の危険等を防止しないで現場から離れることをいいます。
弁護方針
たとえ交通事故が起きてしまったとしても,事故の態様については争いがある場合があります。
ときにはご本人から事情を聞いたうえ,現場に行き事実調査を行います。
事実調査のうえ,検察側の主張と異なる場合には,裁判にてこの点を主張立証します。
事実関係に争いがない場合には被害者の方などへの謝罪や示談交渉を進めます。
また,再発防止策を検討し,裁判所に対し具体的に主張立証を行います。
暴行・傷害事件について
罪名
傷害罪(刑法204条)
暴行罪(刑法208条)
量刑
傷害罪:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
暴行罪:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
特徴
傷害罪は,人の身体を害する傷害行為を行った場合に成立します。
傷害罪は故意犯ですが,暴行の故意で傷害の結果が生じた場合には,傷害の故意がなくても,傷害罪が適用されます。
「暴行」とは人の身体に向けた有形力の行使を言います。
人の付近で太鼓を連打するような非接触的な行為も暴行にあたります。
弁護方針
暴行や傷害事件の場合,被害者と加害者との間で言い分が異なることがあります。
そこで,ご本人から事情を聞くなどして事実関係を明らかにします。
その結果,暴行や傷害に当たらないと判断した場合,そのこと検察庁や裁判所に具体的に主張立証します。
ご本人が事実関係を認めている場合には,被害者に対する謝罪や示談交渉を進めます。
また,同時に再発防止策を検討し,裁判所に対して具体的な方策を主張立証します。
痴漢などの性犯罪事件について
罪名
公然わいせつ罪(刑法174条)
強制わいせつ罪(刑法176条)
量刑
公然わいせつ罪:6ヵ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
強制わいせつ罪:6ヵ月以上10年以下の懲役
特徴
性犯罪に対する社会の目の厳しさを受けて,裁判においても,近年厳罰化の傾向がみられます。
他人に対して陰部等を露出する行為は「公然わいせつ罪」に該当する一方,他人の体に直接触る行為は「強制わいせつ罪」に該当します。
弁護方針
電車内での痴漢などの場合には誤認逮捕の可能性も考えられるので,ご本人に事実関係を確認し,ご本人が痴漢行為を行ったのかを確認します。
そして,痴漢行為を行っていない場合には,目撃状況の確認や犯行現場を再現するなどの無罪獲得に向けた証拠収集を行います。
他方,ご本人が実際に痴漢行為を行ったのであれば,被害者とへの謝罪及び示談交渉を進めます。
また,再犯防止に向けた具体的取り組みを検討し,裁判所に対して主張立証します。